【展覧会レポート】「篠原一男 空間に永遠を刻む 生誕百年 100の問い」にて。

建築めぐり

連休中に、都内で開催されている住宅建築の展覧会を巡ってきました。今回は、その中でも特に印象に残った展示をご紹介します。

訪れたのは、TOTOギャラリー・間で開催中の「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」

戦後の日本建築を代表する建築家・篠原一男氏。

会場にはいくつかの住宅模型が展示されていましたが、特に印象的だった同時代に設計された3作品をピックアップします。

から傘の家(1961年竣工|55.4㎡)

小さな平屋で、屋根裏部屋のような空間があるユニークな住宅。
名前の通り、模型を見るとまるで傘を開いたような方形屋根が特徴的です。

  • 建物の平面は 7.44m角の正方形
  • 屋根は 4.5寸勾配の方形屋根
  • 立面の 壁:窓 = 3:4 の比率は、内部の壁の配置とリンクしています

限られた床面積ながら、視覚的な広がりと奥行きを感じさせる設計が印象的でした。

白の家(1966年竣工|138㎡)

「から傘の家」をひと回り大きくしたような印象を受ける、2階建ての住宅です。

  • 平面は 10m角の正方形
  • 屋根は 5.2寸勾配の方形屋根
  • 開口部と壁の比率は 6.38:3.62

こちらも、壁と開口部の位置が整然と揃えられており、空間の緊張感と美しさが際立っていました。

地の家(1966年竣工|77.1㎡)

同じ年に設計された「白の家」とは打って変わって、全く異なるアプローチがとられた住宅

  • 地下1階・地上1階の構成
  • 寝室は地下に配置!
  • 地上部分は、正方形を少し歪めたような独特の形状

模型を通して見ると、柱もなく歪んでいるからなのか、空間の広がりを感じます。

3つの住宅に共通するのは、勾配屋根という“家らしさ”をまといながらも、その内部には常識を超えた構成や思想が潜んでいること。
模型や図面を見ながら、その意図や緊張感を読み解いていくのが本当に面白く、まるで空間と会話しているような感覚になります。