「雑司ヶ谷の家」築39年マンションの光を活かすリノベーション

現場報告

先日、都内で進めていた築39年マンションのリノベーションが完成し、お引き渡しを行いました。

住戸は2階に位置し、南側は隣接する建物との距離がしっかりとれているため、日当たりがとても良い環境です。
この貴重な自然光を最大限に活かすために、日差しの入る南側に食堂と居間を配置し、家族が集う中心となる空間を設計しました。

「雪見障子」で美しく調和

今回のリノベーションで一つ大きな工夫をしたのが、南面の古いサッシとの付き合い方です。

バルコニーに面したこのサッシは、中桟付きで下半分が半透明の型板ガラスという昔ながらのデザイン。
光は入るけれど、ややノイズになりがちな見た目が空間の印象に影響してしまいます。

そこで、日本建築の伝統的な建具「雪見障子」を採用しました。

逆転の発想で「上半分だけを隠す」

通常の雪見障子は、下部が開閉できるようになっており、座ったときにお庭を楽しむ工夫が施されています。
しかし今回はあえて逆に、上半分の障子を引き下げる仕様に設計。

これにより、

  • 古いサッシの上部だけを柔らかく隠し
  • 下部の光はそのまま取り入れ
  • 椅子に座ったときにちょうど視線が抜ける

という、快適で美しいバランスが実現しました。


細やかな工夫が、心地よさをつくる

このような“既存のものをどう活かすか”という視点も、リノベーションの大切な楽しさのひとつです。
見た目の美しさはもちろん、光や視線、居心地といった感覚的な心地よさにもこだわることで、住まいはより豊かな空間になります。


これからも、ひとつひとつの住まいに寄り添いながら、心地よいリノベーションをかたちにしていきます。

工事中の様子。
廊下の先に雪見障子のある開口部が見えます。バルコニーにはユーカリの木を置きました。
北側のキッチンから食堂をみる。
大梁下まで天井を下げて天井面をスッキリ見せています。天井高さは2300mm。