【訪問記】原広司さん設計、粟津潔さん自邸兼アトリエへ

建築めぐり

少し前になりますが、建築家・原広司さんが設計した、グラフィックデザイナー・粟津潔さんの自宅兼アトリエを見学する機会がありました。
現在は息子さんである粟津ケンさんが運営するギャラリースペースとして活用されています。

実はこの建物、私の実家から徒歩10分ほどの場所にあり、小学生の頃から「なんだか変わった建物だなぁ」と思いながら、何度も前を通っていた場所でもあります。
そんな建物にようやく足を踏み入れることができ、とても感慨深い訪問でした。

建物は斜面に建っていて、坂の上から屋上の玄関へ入っていきます。玄関部分が3階になります。
玄関入ってすぐ階段があり1階のアトリエまで階段が続いています。
アトリエは2層分の天井高さがある一番大きな空間です。
アトリエの窓は小さめ。強い光が入りすぎないようにするためでしょうか。
アトリエから奥の水廻りや和室へつながる廊下は比較的窓も大きく日当たりのよい縁側的な場所になっていました。
和室は他と違って黒を多く使ったデザインになっています。
2階の食堂。こちらも窓が小さめですが上部には小さな窓が並んでいます。
南側の庭からみると、小さな窓がリズミカルに並んでいたり、いくつかの窓を組み合わせて縁取りしたりしてデザインしています。

外観と内観のコントラスト

外観は無機質なコンクリートの箱型で、窓も少なく閉じた印象。
しかし、ひとたび中に入るとその印象は一変します。

建物の中央には、三層を貫く大階段が配置されており、まさにこの建築の心臓部のような存在。

その階段を中心に、階段下のスペースや左右の空間も巧みに活かされていて、それぞれの部屋に個性がありました。
部屋のかたちが細長かったり、窓が多かったりと、決して「整っている」わけではないけれど、それぞれに意味と魅力を感じさせる空間でした。


動きたくなる家

見学中は気づけば何度も階段を上り下りしていて、
その動きすら「楽しい」と思わせてくれる住まいだったのが印象的でした。
通常なら億劫に感じる垂直移動も、ここでは空間のつながりや視線の抜けが誘い、自然と動きたくなります。

ご興味ある方は、ぜひギャラリーとしての公開機会に訪れてみてください。