北欧建築巡り デンマーク編5(ヨーン・ウッツォンの自邸・芝生の丘の伸びやかな住まい)

建築めぐり

内部は平屋建ての細長いワンルームで、南側のガラス壁と北側の閉じたレンガ壁に水平な屋根が載っているシンプルな構成です。居間には空間を別けるコアがあり、コンパクトなキッチンと暖炉が納められています。

ウッツォンはこの住宅の計画前にアメリカへ渡りフランク・ロイド・ライトやミース・ファン・デル・ローエの建築を訪ねていて、特にライトの影響を強く受けていたと言われています。

当初、居間・食堂として使われていたエリアをみる。レンガのピースを基準とした12cmのモデュールによって各部分が設計されています。真ん中のコア部分はキッチンと収納が納まっています。
居間は少し落ち着いた場所になっています。板張り仕上の天井と壁の取り合いは、黒い目地を通して縁が切れているように見せています。
庭に面した明るいキッチン。
壁に掛かる絵は、ル・コルビジェが描いたタペストリーのコピーです。シドニーオペラハウスに飾るためにウッツォンがコルビジェに依頼し製作されましたが、ウッツォンが建設途中で設計者を辞任したことにより、長い間この家の壁に飾られていました。現在はシドニーオペラハウスの西ホワイエに飾られています。

見学当時、こちらの建物には息子のヤン・ウッツォンさんがお住まいでした。生活機能のほとんどは増築部分にあるのでオリジナルの建物はヤンさんの仕事場として使われています。